夫の指はピアニスト、私は原始人。そこから始まったタイピング修行

50代の暮らしと心の整え方

閑話休題 タイピングソフト“激打ちMAX”の思い出

みなさん、“激打ちMAX”という伝説のタイピングソフトをご存じだろうか。
北斗の拳の世界で、悪党どもをタイピングで殴り倒していくという、
どう考えても男子中学生の夢をそのまま形にしたようなゲームである。

当時の私はというと…「Aを押すのに3秒かかる」という、
もはや戦闘以前の問題を抱えた原始人だった。

思い返せば、子育てが終わって働き始めて十数年。
エクセルとワードは触れるようになったものの、関数は呪文。
ブラインドタッチ? もちろんできない。
そして極めつけは、パート初日にノートパソコンを渡されて放ったあの一言。

「すみません、電源って……どうやって入れるんですか?」

……はい?! 現場が一瞬で凍りつきました。 あれは私の黒歴史。
今でも夜中に思い出して布団の中でジタバタします(笑)

そんな私が夫に相談したのだ。 「タイピング、どうやったら上手くなるの?」
すると夫は即答で“激打ちMAX”をすすめてきた。

ログインすると、そこは世紀末。 モヒカン頭の手下(専門用語でヒャッハー)たちがウロウロしている。 最初は簡単な単語を打つだけで倒せるのだが、問題は強敵。
制限時間内に何種類もの単語を打たないと勝てない。

私は文字を探している間にやられる。勝てない。 焦る。 またやられる。 泣きそうになる。

そんな私の横で夫はというと…

指がピアニストみたいに滑っていた。

カタカタカタカタ……ッターン! 無表情で強敵を倒していく姿に、私は嫉妬と悔しさで沸騰した。
負けん気だけでキーボードを叩き、 ついには夫に八つ当たりした日もある。
(夫よ…ごめんなさい。)

しかし、あのゲームには不思議な魅力があった。
文字を打つたびに響く 「アタタタタタタ!」 の音声。 あれが私の闘志に火をつけた。

気づけば私は、 現実世界を離れ、世紀末をタイピングで戦う戦士になっていた。

敵(専門用語で強敵〈とも〉)との戦いに明け暮れ、 いつの間にかタイピング速度も上がり、
エンターキーを押す手にはスナップが効くようになった。
(今でも「ッターン!」と押してしまうのは完全にこのゲームのせい。)

このソフトにはランキング機能もあり、全国の猛者たちが名を連ねていた。 その中でひときわ輝く1位の名前。

ヒカキン

……そう、あのヒカキンさん⁉である。(本物かどうかは不明)
闘っていたのは私だけではなかった!私は、ヒカキンさんと背中合わせに世紀末を闘っていた!

今では配信も終了し、もうあの世界に戻ることはできない。
でも、激打ちMAXのおかげで私は今、 周りと遜色なくタイピングができている。

あの頃の開発者の皆さまに、心から感謝したい。 そして当時の私にひと言だけ言いたい。

「電源の場所が分からなくても、タイピングは上達する。あと、”ッターン”が止まりません

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